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東京地方裁判所 昭和52年(ワ)3074号 判決

原告 近藤正明

被告 日本液体運輸労働組合

主文

原告が被告の組合員としての地位を有することを確認する。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告

主文同旨

二  被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求の原因

1  原告は、昭和四四年一月三〇日、訴外日本液体運輸株式会社(以下「訴外会社」という。)の従業員として本採用になると同時に、被告日本液体運輸労働組合(以下「被告組合」という。)に加入した。

2  しかるに、被告組合は、昭和五一年一〇月五日以降、原告を組合員として扱わない。

3  よつて、原告は、被告に対し、原告が被告組合の組合員としての地位を有することの確認を求める。

二  請求の原因に対する答弁

請求の原因第1、2項は認める。

三  被告の抗弁

1  除名による原告の地位喪失

被告組合は、昭和五一年一〇月三日に開催された第一四回定期大会(以下「本件定期大会」という。)において原告を除名処分にする旨決議し(以下「本件除名決議」という。)、その旨同年一〇月五日付の文書で原告に通知したので、原告は、被告の組合員たる地位を喪失した。

右除名処分の詳細は、以下2ないし4に述べるとおりである。

2  事実の経過

(一) 昭和五一年八月当時、訴外会社には、品川、足立、千葉(五井)、鹿島、日立に営業所があり、被告組合は、各営業所に所属する組合員をもつて各分会を構成し、原告は、鹿島分会に所属していた。

(二) 原告は、昭和四八年春闘当時足立分会長の地位にあつたが、同春闘第八回団体交渉において「足立分会は、ストに突つ込ませない。」と発言し、その団体交渉を混乱させるとともに、右春闘を急速に終熄させざるをえないところに被告組合を追い込んだ。

右行為の責任をとつて、原告は、昭和四八年四月二六日足立分会長の地位を辞任したが、被告組合は、同年六月二四日原告を権利停止一〇年の処分にする旨決定し、原告は、同決定に服した。

(三) ところが、原告をめぐつて次のような事態が生じた。

(1) 昭和五一年七月下旬ころ、石橋登鹿島分会執行委員が、長谷川同分会書記長に対し、「組合幹部は、会社から一五万円くらい金をもらつている。」と発言した。

右発言を重視した被告組合は、八月一三日中央執行委員会を開催し、右問題を解明するための調査委員会の設置を決定した(右調査委員会は、中央三役(須藤勝夫委員長、吉田富男副委員長、福島章書記長)及び各分会の分会長に鹿島営業所の分会三役(杉本分会長、喬本副分会長、長谷川書記長)を加え、一〇名で構成された。)。

九月二日、調査委員会(一〇名全員出席)が鹿島分会事務所で石橋登の出席を求めて事情調査をしたところ、同人は、「原告が品川営業所から同人あて電話で連絡してきたので知つた。」と述べた。そこで、同委員会は、鹿島分会三役に対して、原告から事情を聞くことを命じた。

(2) 杉本鹿島分会長は、九月三日から六日にかけて、原告に右件を問いただしたところ、原告は、石橋に話をしたことを認め、それは電話によるものではなく、日立への運搬作業で石橋と車に同乗した際話をしたものであり、更に、その話の出所は、原告が品川営業所へ運搬業務で行つた際、同営業所に待機中であつた品川の分会員三、四名が話をしているのを立ち聞きしたものである、と述べた。

(3) 右報告を杉本分会長から受けた福島中央書記長は、品川分会員の写真を鹿島分会に送り、その発言をしていたという品川分会員の名前を原告に明らかにさせるよう杉本分会長に依頼した。

(4) 杉本分会長が原告に対して右写真を示して名前を尋ねたところ、原告は、「写真のなかに前記発言をした品川分会員がいても、名前は言えない。仮にその名前を明らかにしたとしても、その分会員がその事実を否定すればその組合員と対決状態となるから、いやだ。」と述べ、真相解明への協力を拒否した。

(5) そのため、被告組合で、原告が品川営業所に業務で来た日を調査したところ、七月一四日と判明したので、更に当日品川営業所の待機者を調査したところ、河村品川分会書記長、佐藤治男、工藤篤各分会執行委員、木村分会員の四名であることがわかつた。

九月二一日開催された拡大執行委員会で、右の事実が明らかにされると、出席していた品川分会の前記役員達(木村分会員を除く)は、いずれもそのような発言をしていないと述べ、原告からいかなる根拠に基づいて石橋に話をしたのか真相を問いただすべきであるとの意見が、強く出された。そこで、拡大執行委員会は、九月二五日に中央執行委員会を開催しその席に原告及び石橋を呼び出して事実を問いただすことを決定した。ちなみに、拡大執行委員会は、中央執行委員会(中央三役及び各分会三役で構成)にその他の分会役員各五名(但し、日立分会は少人数のため三役を含め二名)を加えて構成していた。

(6) 九月二五日中央執行委員会が開催され、石橋はこれに出席して被告組合の調査に応じたが、原告は欠席した。

中央執行委員会は、再度原告の所属営業所の鹿島で九月二八日拡大執行委員会を開催し原告の出席を求め事の真相を明らかにすべきである旨の決定をした。右決定に基づいてその場で須藤委員長が原告宅に電話して九月二八日の拡大執行委員会への出席を求めたところ、原告は、どうしても出席しない旨回答した。

そこで、中央執行委員会は、これ以上原告に対して組合の調査に応ずるよう指示しても応ずる可能性はないものと認め、原告から直接真相をただすことを断念し、拡大執行委員会も、鹿島で開く必要がなくなつたので千葉で開催することとした。

しかし、その後も、原告に対し九月二八日の拡大執行委員会に出席するよう説得が続けられた。

(7) 九月二八日千葉で拡大執行委員会が開催されたが、原告は欠席した。

右拡大執行委員会で、従来の調査結果が報告され、日報等を調査してみると、原告の話を石橋が聞いたのは両名が日立へ作業に行つた日とされているが、その日は七月一〇日であることが判明した。そして原告の言によると、その話の出所は同人が品川に作業で立寄つたときに聞いたというのであり、これは記録上七月一四日であるから、日順が逆となり、原告の説明の辻褄が合わないという疑問も生じた。

以上の経過を前提に、拡大執行委員会は、討議を重ねた結果、(ア)原告は、みずから被告組合の内部に不団結、不信感を増長させかねない発言をし、それが真実ならばそれを被告組合が解明してその不正を正すことに協力しなければならないのにそれをしようとせず、漫然とした組合幹部不信感を被告組合内部にまき散らした、(イ)右のような行為をしながら、被告組合の調査に再三の出席を求められたにもかかわらず、出席して事実を解明することに意識的に協力しなかつた、(ウ)このような行為を、権利停止中にもかかわらず行つた、との事実を確認し、原告を除名処分にする旨決定した(拡大執行委員三六名中三二名出席、二三名賛成、九名反対であつた。)。

3  除名理由

前記の事実によれば、原告には次のような除名理由がある。

(一) 被告組合が原告に対し再三調査委員会等に出席して調査に応ずるよう命じたのに原告がこれに出席して調査に応じなかつたことは、組合規約三四条一号に該当する。

(二) 原告が権利停止中に組合不信、団結権破壊助長の原因となる発言をしておきながらその発言者を明らかにせずその真偽を解明しようとする被告組合に協力しないことは、組合員のなかに被告組合に対する不信、不団結を助長しようとするものであつて、組合規約三四条二号、三号に該当する。

4  除名手続

(一) 中央執行委員会は、前記拡大執行委員会の決定に基づき、本件定期大会に前記除名理由のもとに(ただし、該当条項としては組合規約三四条一号、三号を掲げた。)原告の除名の提案を行つた。

(二) 被告組合の組合規約によれば、「組合員の表彰並に処罰は大会に提案し決定されなければならないこととされ(一一条五号)、その趣旨は、「大会の討議を経て除名又は権利を停止することがある」(三四条本文)にも表明されている。大会は、構成人員(全組合員)の三分の二以上で成立し(一六条)、一一条列記事項(大会決定事項)は、出席組合員の三分の二以上の同意を必要とする(一八条)こととされ、特別決議事項となつている。

(三) 本件定期大会開催当時被告組合員は一四二名であつたが、右大会には一二一名が出席し、最初の投票(以下「第一回投票」という。)は、除名賛成七九票、反対三三票、無効五票、白紙四票であり、右投票結果では、賛成票が出席組合員の三分の二以上の八一票に達しなかつた。

投票後、出席組合員から意見が出され、従来から有効投票総数の三分の二以上の同意で決定していたのではなかつたか、投票方法の説明が不十分で無効投票が出た(この大会では原告の処分とともに石橋に対する始末書提出処分も同時に提案され、投票方法として最初は一枚の用紙に各人が〈1〉近藤、〈2〉石橋と記載しそのうえでそれぞれに○×を記入することときめられたが、この方法では混乱するとの意見が出され、一枚の投票用紙で一名あて投票することに変更されたものであるところ、その投票方法が徹底せず、二名分を記載した無効投票が出たものである。)との主張がされた。

そこで、議長は、前例に従い有効投票数の三分の二以上の同意で決定することとし、一枚の用紙で一名の投票を行い、近藤・石橋の両名について同時に投票を求めないでまず近藤についての投票から行う、との提案を大会にかけ、全員の賛成を得た。そして、まず原告に関する投票が行われ(以下「第二回投票」という。)、除名賛成八二票、反対三八票、無効一票となり、有効投票数ではもちろん、出席組合員数からみても三分の二以上の賛成を得て、除名は決定された。

四  抗弁に対する原告の答弁及び主張

1  除名による原告の地位喪失について

(一) 認否

第1項の事実中、本件定期大会において本件除名決議がされたとして同年一〇月五日付の文書でその旨原告に通知されたことは認めるが、その余は争う。

(二) 主張

本件除名決議は、後述のように無効であり、原告は被告組合員としての地位を失つていない。

2  事実の経過について

(一) 認否

第2項の(一)の事実は認める。

同(二)の事実中、原告が、昭和四八年当時被告組合足立分会長の地位にあつたこと、同年春闘の団体交渉の席上被告主張のとおりの発言をしたこと及び同年四月二六日足立分会長の地位を辞任したことは認めるが、その余は争う。

同(三)の(1)の事実は不知。

同(三)の(2)の事実中、杉本分会長が被告主張の日ころ原告に石橋発言を問いただしたことは認めるが、その余の事実は争う。

同(三)の(3)の事実は不知。

同(三)の(4)の事実中、杉本分会長が原告に対して写真を示して発言者の名前を尋ねたこと及び原告が名前を明らかにしなかつたことは認めるが、真相解明についての協力を拒否したとの主張は争う。

同(三)の(5)の事実中、拡大執行委員会の構成については認めるが、その余の事実は不知。

同(三)の(6)の事実中、九月二五日に開催された中央執行委員会に原告が欠席したこと及び須藤委員長からの拡大執行委員会(九月二八日開催予定)への出席要求について原告が出席しない旨回答したことは認めるが、その余の事実は不知。

同(三)の(7)の事実中、九月二八日開催の拡大執行委員会に原告が出席しなかつたこと及び同日の拡大執行委員会において原告を除名処分にする旨決定されたことは認めるが、その余の事実は不知。

(二) 主張

被告組合主張(第2項の(二))の原告を権利停止一〇年とした処分は、単に中央拡大闘争委員会における議決に基づくものにすぎず、組合規約に定められた適式な手続(除名手続と同様である。)を経ていないから、無効である。

3  除名理由について

(一) 認否

第3項は争う。原告は被告組合から除名されるような行為をしていない。

(二) 主張

(1) 被告は除名理由として原告の行為が規約三四条一号、二号、三号に該当すると主張している。しかし、本件定期大会に原告を除名する旨提案した議案書には「規約三四条一項、三項(一号、三号の誤り)に該当し」と記載されているだけであつて、第二号違反を理由とする除名提案はされていない。除名は労働者にとつて重大な不利益を生じさせるものであるから、除名が大会に付議されるにあたつては、組合員に対し、当該除名者がいかなる事由でいかなる組合規約に違反するのかが厳密かつ明確に示されなければならないものであるところ、右大会に付議された除名理由は規約三四条一号、三号に該当するということに限定されていたのであるから、除名決議の効力が問題とされるに際しては、専ら、原告に規約三四条一号、三号の違反事実があつたかどうか、そしてその違反が除名の事由となりうるかどうかが検討されるべきであつて、本訴訟において同条二号該当の除名理由を主張することは、失当である。

(2) 除名は、実質的に当該労働者の労働基本権を否認し、ひいてはその生存権をおびやかす結果となるものであるから、組合が除名処分をすることができるのは、組合にとつて団結権を破壊する現実的な危険性があるなど高度な合理的理由がある場合、すなわち、形式的に「規約に違反した」ことだけでなくその規約違反の結果が組合に重大な影響を現実に及ぼし団結権破壊の危険が逼迫している等の事由がある場合に限られるべきである。しかるに本件においては、原告には「規約違反」の事実がないばかりでなく、原告が組合破壊的な行為をした事実もないのであるから、何ら原告に対する除名を合理化する理由はない。

4  除名手続について

(一) 認否

第4項の(一)の事実は認める。

同(二)の事実は、除名の決議が出席組合員の三分の二以上の同意を必要とするとの点を除き、認める。除名決議は組合員総員の三分の二の同意を必要とするものと解すべきである。

同(三)の事実のうち、本件定期大会当時被告組合員が一四二名であつたこと、第一回投票の結果が被告主張のとおりであつたこと及び第二回投票が行われその結果が被告主張のとおりであつたことは認めるが、その余の事実は争う。

(二) 主張

本件除名処分は、組合規約の解釈を誤り規約に則つてされていないばかりでなく、条理にも著しく反し、無効である。

(1) 組合大会に除名の提案をする場合には、組合民主主義の要請に基づき、被処分予定者に対し除名理由について十分な弁明の機会を与えなければならないのに、原告に対してあらかじめ何も知らされず弁明の機会が与えられなかつたのは、組合民主主義に反する。

(2) 本件除名決議の方法は、民主的な会議体の原則ないし一事不再議の理念に反する。すなわち、本件除名議案については二度にわたつて投票が行われたものであるが、第二回投票は、除名議案を否決した第一回目の投票意思をふみにじるものとして極めて非民主的なものであり組合民主主義の基本理念に著しく反するとともに、会議の一般原則である一事不再議の理念にも反するものであるから、無効である。

(3) 組合規約には被告主張のように組合員の除名を認める趣旨の規定があるが、その決議方法については、「次の事項を決定するときは組合員が三分の二以上の同意を必要とする。第一一条に準ずる。」(一八条)と規定されており、右「組合員の三分の二」とは、「組合員総員の三分の二」と解すべきである。したがつて、原告の除名が決定されるためには、有効投票数の三分の二以上の同意では足りないのはもちろん、出席組合員の三分の二以上の同意であつても不十分であり、被告組合員総員一四二名の三分の二である九五名以上の同意が必要とされるところ、本件においては、第一回投票の結果のみならず第二回投票の結果も賛成票は右票数に達していないから、原告の除名議案は、結局、否決されたものである。

第三証拠〈省略〉

理由

一  本件の問題点

原告が昭和四四年一月三〇日、被告組合に加入したこと及び被告組合が本件定期大会において本件除名決議をしたとして昭和五一年一〇月五日付の文書で原告にその旨通知したことは、当事者間に争いがない。

本件の争点は、本件除名決議が効力を生じたかどうか、すなわち、原告に被告主張のような除名理由があるといえるかどうか及び本件除名決議の手続が被告組合の規約等に照らし正当なものといえるかどうかの点にある。

二  事実の経過

そこでまず、本件定期大会に原告の除名議案が提案されるにいたるまでの事実の経過について検討する。

(一)  昭和五一年八月当時、訴外会社には、品川、足立、千葉(五井)、鹿島、日立に営業所があり、被告組合は各営業所に所属する組合員をもつて各分会を構成し、原告は鹿島分会に所属していたことは、当事者間に争がない。

(二)  原告が昭和四八年春闘当時足立分会長の地位にあつたこと、同春闘第八回団体交渉において原告が「足立分会は、ストに突つ込ませない。」と発言したこと及び原告が昭和四八年四月二六日足立分会長の地位を辞任したことは、当事者間に争がない。右争のない事実に成立に争のない乙第四、第五、第一二号証及び原告本人尋問の結果をあわせ考えると、次の事実を認めることができる。

昭和四八年春闘の第八回団体交渉当時、訴外会社と被告組合との間においてベースアツプの金額について対立しており、被告組合としては要求金額を実現するため会社より誠意ある回答がないときは翌日二四時間ストを行う予定を組み、また、交渉担当者らは妥結金額について最終的に八五〇〇円を下らないようにするとの意思統一をして団体交渉に臨んでいたところ会社側が組合側の要求に応じないため交渉が決裂状態になろうとしたとき、足立分会では前日妥結額は八〇〇〇円でもよいとの結論を出しており会社側の回答もその額となつていたので、原告は、交渉決裂を避けさせようとして、独断で「足立分会はストに突つ込ませない。」と発言し、交渉担当者らの意思統一を乱すとともに交渉を混乱させた。原告は、右発言の責任をとつて、昭和四八年四月二六日足立分会長の地位を辞任したが、被告組合の四分会が原告の右行為は被告組合の統制を乱したものであるとして原告を権利停止にするよう求めたので、中央拡大闘争委員会は、昭和四八年四月二七日、原告を権利停止一〇年とすることを決定し、同日付の文書でその旨原告に通知し、更に、被告組合は、同年六月二四日の夏季要求臨時大会において、出席組合員の全員一致で、原告を権利停止一〇年とする旨決定し、同月二五日付の文書でその旨原告に通知した。

(三)  次に、杉本鹿島分会長が原告に対し石橋の発言について問いただしたこと、杉本分会長が原告に対し品川分会員の写真を示して名前を尋ねたところ原告が名前を言えないと述べたこと、九月二五日開催の中央執行委員会に原告が欠席したこと、同日須藤委員長が電話で原告に対し九月二八日開催予定の拡大執行委員会に出席を求めたところ原告が出席しない旨回答したこと、九月二八日の拡大執行委員会に原告が欠席したこと及び同日の拡大執行委員会において原告を除名処分にする旨決定されたことは、当事者間に争がない。右争のない事実に、成立につき争のない乙第二、第八、第九号証、証人杉本孝夫、同佐藤治男、同福島章の各証言を総合すれば、以下の(1)ないし(7)の事実を認めることができる。証人石橋登の証言及び原告本人尋問の結果もこの認定を妨げるものではなく、他にこの認定を左右するに足りる証拠はない。

(1)  昭和五一年七月下旬ころ、鹿島分会員の石橋登は、分会書記長である長谷川に対し「今度の夏季一時金闘争で組合の幹部は会社から金をもらつたらしい。もらつたのは、中央(本部)二人、品川(分会)二人、足立(分会)二人、鹿島(分会)一人で、千葉(分会)は関係がない。金額は一五万円くらいだ。」との趣旨の話をした。これを聞いた長谷川は、一〇日くらいのちに、同分会の喬木副分会長とともに、同分会の杉本分会長にその真偽をただした。そのころには右のような噂は鹿島分会員の間に広がつていたが、この話に不審を抱いた杉本分会長は、福島中央書記長に相談したうえ、同年八月五日ころ石橋に対しその話の出所をただしたところ、石橋は、「品川営業所から電話をかけてきた者から聞いたが、その名前は言えない。自分も品川営業所に立寄つたときその話を聞いたことがある。」旨述べた。

そこで、杉本分会長は、同年八月一三日に開催された中央執行委員会の席上でこの件について報告した。これまでも闘争が終つた際被告組合役員が会社からいくらか金をもらつたのではないかという噂がしばしば流れたことはあつたが、今回の噂は、多数の特定の役員がその対象として挙げられており、また、具体的金額が明示されていたので、このまま放置したのでは一般組合員の疑惑を増すのではないかと懸念し、中央執行委員会は、右問題を解明するための調査委員会を設置することを決定し、九月二日鹿島分会事務所で調査委員会を開くこととした。なお、調査委員会は、中央三役(須藤勝夫委員長、吉田富男副委員長、福島章書記長)及び各分会の分会長、特に鹿島分会は分会三役を加え、一〇名で構成された。

九月二日、調査委員会は、鹿島分会事務所で石橋登の出席を求めて事情調査を行つたところ、石橋は、「原告が品川営業所から同人あて電話をかけてきたので知つた。自分も品川営業所に行つたとき聞いた」旨述べた。そこで、調査委員会は、原告に事実を確めようとしたが仕事で不在であつたため、杉本分会長に原告から事情を聴取するように命じた。

(2)  杉本分会長は、九月四日ころ、原告に対し、石橋に前記のような電話をしたことがあるかどうかを尋ねたところ、原告は、「石橋と一緒に仕事をした時、同人に対し、『今度の夏の臨時給与が安くおさまつたのは、会社が組合幹部に事前に金をばらまいたらしい。ばらまいた先は、中央二役。吉田はもらつていないだろう。品川は分会長。足立はもらつていない。千葉はわからない。鹿島は分会長あたりではないか』というような話をしたことはあるが、品川営業所から電話をかけたことはない。その話は、品川営業所に立寄つたとき控室で分会員が話をしているのを聞いて知つたものである。その後二、三日して石橋から金をもらつたとしたらいくらくらいだろうと聞かれたので、三万、五万、一〇万、一五万というような形で出すのではないかと話した。」と述べた(なお、原告は、当法廷で、右話は七月一四日夕方品川営業所に立寄つた際近くの喫茶店で同僚の宮潔さんより聞いた旨を供述するにいたつたが、本件除名決議がされるまでにそのようなことを被告組合に告げたことはなかつた。)。

(3)  右報告を杉本分会長から受けた福島中央書記長は、品川分会員全員が写つている写真を鹿島分会に送り、その話をしていた品川分会員の名前を原告に明らかにさせるよう依頼した。

(4)  そこで杉本分会長が原告に対し右写真を示して尋ねたところ、原告は、写真について、「はつきりわからない。仮にその人がいたとしても名前は言えない。名前を言つてその人が否定すればその人と対決しなければならないから言わない。」と述べた。

(5)  杉本分会長が原告の品川営業所に立寄つた日を調査したところ、七月一四日であることが明らかとなつたが、九月二一日に開かれた拡大執行委員会でこれまでの経過が報告されたところ、品川分会所属の委員から、七月一四日品川営業所で待機していた分会員がそのような話をしていた事実はなくいかなる根拠でそのような発言をしたのか石橋及び原告を呼んで真相を究明すべきであるとの意見が出され、拡大執行委員会は、九月二五日に中央執行委員会を開催しその席に原告及び石橋を呼び出し事実を問いただすことを決定した。そこで、杉本分会長らは、同月二二日から二四日にかけて、原告に右委員会に出席するよう要請した。

(6)  九月二五日中央執行委員会が開催され、石橋は出席したが、原告は欠席した。石橋はこの席上、電話で原告から話をきいたというのは嘘であり、金額についても一五万円もらつたと言つていたのは自分が誇張して述べたものである、と前言をひるがえすに至つた。そこで、中央執行委員会は、再度九月二八日鹿島で拡大執行委員会を開き原告の出席を求め事実を明らかにすべきであると決定した。そこで、須藤委員長が原告宅に電話して拡大執行委員会への出席を求めたところ、原告は、「第二、第三の犠牲者を出したくない。責任は自分一人で負うから出席はしない。」旨答え出席を拒否した。そこで、中央執行委員会は、原告を呼び出すことを断念し、拡大執行委員会を千葉で開くことにきめた。

(7)  九月二八日千葉で拡大執行委員会が開催されたが、原告は欠席した。拡大執行委員会は、討議を重ねたが、このまま放置していたのでは組合の団結が危うくなるから原告を除名処分にすべきであるとの意見が強まり、出席者三二名中賛成二三名反対九名で、拡大執行委員会として、原告を除名処分にする旨を決定した。

三  除名事由の有無

そこで、前記二の認定事実を基礎として、原告に除名理由があつたかどうかについて検討する。

(一)  労働組合は、その団結権を確保するために必要であり、かつ、合理的な範囲内で組合員に対し統制権を有するのであるが、労働組合が行う除名等の統制権の行使は、本来、組合の内部規律に関する事柄であり、組合が自主的に決定すべき問題なのであるから、組合が統制権を行使するだけの理由があつたかどうかを裁判所が判断するにあたつては、原則として組合の判断を尊重すべきものであると解するのが相当である。もつとも、労働組合の自治にもおのずから一定の限度があるのであり、除名理由があるとした組合の判断が社会通念に照らし著しく合理性・妥当性を欠く場合には、裁判所はその組合の判断に基づく統制処分を権利の濫用として無効と判断することができるのは、いうまでもないところである。

(二)  ところで、労働組合の存立にとつて、団結は必要不可欠なものであり、常に強固な団結を維持することが必要とされるのであるから、労働組合の構成員である組合員がなによりもまず組合の団結を維持擁護する義務を負うことは、当然のことである。そして、労働組合の団結を侵害する行為が行われた場合に組合がその統制権を行使するために必要な事実関係の調査を行うことができるのはいうまでもないところであるが、組合員は、組合の団結を維持擁護する義務の遂行として必要かつ合理的な範囲内で、右調査に協力する義務をも負つているものと解するのが相当である。

(三)  本件についてこれをみると、鹿島分会員の間に広まつた組合幹部が会社より金員を受けとつたとの前記の噂は、これまで闘争終結時にしばしば流れた噂と異なり、その内容において多数の特定の役員が挙げられかつ金額も明示されたかなり具体性を帯びたものであつて、組合員に組合幹部に対する不信の念を起こさせ、ひいては被告組合の団結をゆるがしかねないと考えられるものであるから、被告組合の中央執行委員会がその噂の出所、真偽を調査するため調査委員会の設置を決定し事実の調査を開始したのは、被告組合の統制権に基づく権限行使として相当なものであつたと考えられる。そして右の噂は、石橋によつてかなり誇張された点があるとしても、原告が石橋に対し品川営業所に立寄つた際聞いたと称する話をしたことに端を発したものであり、その性質が前記のように評価されるものである以上、原告は、被告組合の団結を維持擁護する義務の遂行として、被告組合が行う事実の調査にできる限り協力し真実を明らかにする必要があつたもの、と解するのが相当である。しかるに、原告は、杉本分会長に対し若干の事実を明らかにしただけで、拡大執行委員会及び中央執行委員会の決定により調査のため委員会に出席するよう求められたにもかかわらず、これを拒否し、被告組合の調査に対し必要な事実を明らかにしなかつたものというべきであるから、これに対し被告組合が規約三四条一号にいう「規約綱領又は決議に違反したもの」に該当すると判断したのは相当であり、これをもつて、著しく合理性・妥当性を欠くものということはできない。

また、原告は、本件以前にも被告組合の団結を乱す行為をしたものとして権利停止一〇年の処分を受けていた(原告は右処分は単に中央拡大闘争委員会における議決に基づくものであつて、規約に定められた適式な手続を経ていないから無効であると主張しているが、前記認定の事実によれば、昭和四八年六月二四日の臨時大会で全員一致の決議により決定されたものと認められるから、原告の右主張は採用することができない。)にもかかわらず(なお、この事実を本件行為を評価する際の事情としてしんしやくすることは、なんら妨げられないものというべきである。)前記のような噂の原因となるような発言をしその噂の出所、真偽を解明しようとした被告組合の調査に必要な協力をしなかつたことは、結局、組合役員に対する組合員の不信感を助長し組合の団結を乱し組合の名誉を毀損する行為であると評価されてもやむをえないものであるから、これに対し被告組合が規約三四条二号にいう「統制又は秩序をみだし組合の名誉を毀損したもの」及び同条三号にいう「正当な理由なく組合員の義務を怠つたもの」に該当すると判断したことは相当であり、これをもつて、著しく合理性・妥当性を欠くものということはできない。

もつとも、本件定期大会の議案書には、原告の行為に対する規約の該当条項として三四条一項三項(一号三号の誤記と認められる。)だけが記載され二号の記載がされていなかつたことは、当事者間に争のないところであるが、成立に争のない乙第二号証によれば、右議案書には、前記認定にかかる事実の経過及び除名理由として本件で主張されているところがほぼ全部記載されており、ただ単に規約の該当条項を記載するにあたり二号の記載を書き落したかあるいは適条を誤つたにすぎないものと認めるのが相当であり、これによつて、原告がその弁明に支障をきたし、また、組合員の判断に誤りが生じたものと解することはできないから、本訴において、被告が原告の行為は規約三四条二号に該当すると主張することを妨げる理由はないものというべきである。

そして、組合員に規約三四条各号に該当する事実があると認められる場合において、被告組合が当該組合員に対し除名を選ぶか権利停止を選ぶかは、原則として、その裁量に任されているものと解するのが相当であり、前記のように、すでに原告が権利停止一〇年の処分を受けていることを考えあわせると、被告組合が原告は除名処分相当であると判断して本件定期大会に原告の除名を提案したことをもつて、その裁量権の行使が著しく合理性・妥当性を欠いたものということはできない。

したがつて、原告には被告主張のような除名事由があつたものというべきである。

四  除名手続の正当性

そこで、更に進んで本件除名決議が正当な手続により行われたかどうかについて検討する。

(一)  被告組合中央執行委員会が本件定期大会に原告の除名提案を行つたことは、当事者間に争がない。

原告は、右提案に際し原告に事前になんらの告知もせず原告に弁明の機会を与えなかつたことは違法である、と主張する。

しかしながら、成立につき争のない乙第一号証によれば、被告組合の規約上、執行委員会が大会に組合員の除名議案の提案を決定するにあたりあらかじめ被処分予定者に弁明の機会を与えなければならない旨の定めは見当たらないし、除名議案の提案決定前に弁明の機会が与えられなくとも議案の提出された大会において十分弁明の機会が与えられれば手続の適正の要請はみたされるものと解するのが相当であるところ、証人友広清士の証言及び原告本人尋問の結果によれば、本件定期大会の二日前に吉田副委員長から原告に対し本件定期大会に原告の除名議案が提案される旨の通知があり、原告は本件定期大会において十分弁明を行つたものと認められるから、中央執行委員会の除名提案決定前に原告に弁明の機会が与えられなかつたことの故に手続が適正を欠き違法であるということはできない。

(二)  そこで、次に被告組合における除名議案の可決の要件について検討する。

被告組合の規約によれば「組合の表彰並に処罰」は大会に提案し決定されなければならないこととされ(一一条五号)、その趣旨は「大会の討議を経て除名又は権利を停止することがある」(三四条本文)にも表明されていること及び大会は「構成人員の三分の二の出席をもつて成立する」(一六条)ことは、当事者間に争がない。ところで、成立に争のない乙第一号証によれば、被告組合の規約一七条は「議事は過半数で決め可否同数のときは議長がこれを決定する。」と定め、同一八条は「次の事項を決定する時は組合員の三分の二以上の同意を必要とする。第一一条に準ずる。」と定めていることが認められる。この一八条の規定の趣旨は、被告組合の各種の会議の議決の原則を定めた一七条の規定に対し、規約一一条各号に列記された事項を大会で決定する場合には「組合員の三分の二以上の同意を必要とする」という決議方法の特例を定めたものと解される。右一八条の規定にいう「組合員」の意義については、一七条の規定が単に「過半数で決め」と定めているにとどまるのに対し、「組合員の三分の二以上の同意を必要とする」として殊更に「組合員の」と定めていること、一一条列記事項のなかには、同盟罷業(ストライキ)、規約の改正のように労働組合法上全組合員の過半数による決定を必要とする重要な事項が含まれており、もしこれを大会出席組合員の三分の二以上で足りると解すると、場合によつては全組合員の過半数に達しない九分の四によつて決定することができることになつて不都合なこと(もつとも、一一条列記事項のなかには、役員の改選、労働協約の締結事項など通常は必ずしも組合員総員の三分の二以上の同意を要することとするだけの必要性があるとは考えられない事項も含まれてはいるが、役員の選出については二〇条に特別の定めがあり、また、他の事項についても被告組合の規模が後記認定のように一四〇名あまりであることを考えると組合員総員の三分の二以上の同意を要するものとされていると解してもさほど不合理であるとは考えられない。)組合員の処罰のうち除名処分についてはその性質上労働組合の多数意思すなわち少くとも全組合員の過半数以上の同意により決定されるのが相当であることなどを考慮すると、「組合員総員」を意味するものと解するのが相当である。

そうすると、被告組合の規約上は大会における除名議案の可決には組合員総員の三分の二以上の同意が必要であり、本件定期大会当時被告組合の組合員総数が一四二名であつたことは当事者間に争がないから、本件定期大会においては、組合員九五名以上の賛成がないかぎり、除名決議は効力を生じない(議案は否決される)ものといわなければならない。

(三)  そこで本件についてみると、まず、第一回投票では、除名賛成票は七九票にすぎなかつたことは当事者間に争がないから、原告に対する除名議案は、否決されたものといわなければならない。(この点は、出席組合員の三分の二以上と解しても同様である。)。

(四)  ところで、労働組合の大会に提案された議案が一旦否決されたのちに同一大会において同一議案を再度議決に付することは、第一回の議決について組合員に対しその意思決定のために必要な重要な資料が提示されずにされたことその他その手続に重大な瑕疵があり再度採決を行わなければ著しく条理に反すると認められる特別の事情がある場合を除いては、会議の一般原則である一事不再議の原則に照らし、許されないものと解すべきである。

(五)  しかるに、本件において原告の除名議案につき第二回投票が行われたことは当事者間に争がなく、証人友広清士、同福島章の各証言によれば、その経緯は、友広議長が第一回投票の結果についてこれを否決されたものと判断しその旨宣言したところ、会場は騒然となり出席組合員から、(1)従来決議は有効投票の三分の二以上で決定するのが例であつたこと、(2) 本件定期大会には原告の処分とともに石橋に対する始末書提出処分も提案され、当初投票方法として一枚の用紙に各人が近藤、石橋の名前を記載しそのうえでそれぞれに○(賛成)×(反対)を記入することと定められたところ、この方法では混乱するとの意見があり、一枚の投票用紙で一名あて投票することに投票方法が変更されたが議長の投票方法の説明が不十分であつたため二名分を記載した無効投票が出たものであることの二点を理由として異議が述べられたので、友広議長は、議長団を構成していた倉富議長の意見を聞いたうえで、決議方法を有効投票の三分の二以上で決定するものとして再投票を行う旨を告げ、これに対し殊更異議を述べる者もなかつたので、第二回投票を行つたものであつたと認められる。

しかしながら、前記各証言によれば、大会に除名議案が提案されたのは本件がはじめてであり、従来除名議案の決議の先例となるものはなかつたこと、また、従来大会の特別決議事項(ストライキ権の確立など)について有効投票の三分の二以上の同意によつて決定された事例も一、二あつたが、それは組合員総数、大会出席組合員数、有効投票数のいずれを基礎とするかによつて結論が異なるようなものではなくこの点の解釈が争われて有効投票の三分の二以上の同意で決定されるべきものとして決議されたものではなかつたことが認められ、大会の特別決議事項(特に組合員の除名)について有効投票の三分の二以上の同意によつて決定する旨の明確な解釈が慣行として確立していたものと解することはできないし(本件において友広議長が第一回投票の結果を判定するについて規約一八条を大会出席組合員の三分の二以上の同意により決定すべきものと解したこと自体、明確な解釈が慣行として確立していなかつたことをうかがわせる。)、本来大会の特別決議事項については規約上組合員総員の三分の二以上の同意により決定されるべきものと解すべきなのであるから、有効投票の三分の二以上の同意で決定されるべきものであつたことを理由として再度投票を行うべき特別の事情があるものとすることはできない(仮に有効投票の三分の二以上の同意によつて決定されるべきものであつたとすれば、むしろ第一回投票の結果についての判断を改めるべきものであり、再投票を行うべきものではない。)。また、第一回投票における無効投票は、投票総数一二一票のうちの五票(約四パーセント)にすぎず、投票を行つた大多数の組合員は変更された投票方法によつて誤りなく投票をしていることが明らかであるから、第一回投票の際の議長の投票方法の説明が不十分なものであつたということはできず(むしろ無効投票が生じたのは投票者の不注意に帰せられるべきものである。)、この点を理由として再度投票を行うべき特別の事情があるものとすることもできない。その他本件において再度投票を行わなければならない特別の事情があるものと認めるに足りる証拠はない。

そうすると、第二回投票は、一事不再議の原則に照らし許されないものというべきであり、無効であると解すべきである(なお、第二回投票においても賛成票は八二票にすぎなかつたことは当事者間に争がないから、この点からしても、結局原告に対する除名議案は否決され、決議は効力を生じなかつたものというべきである。)。

五  結論

そうすると、結局、本件定期大会における原告に対する除名の議決は効力を生じなかつたものであり、他に原告が被告組合の組合員としての地位を喪失したことの主張立証がない以上、原告は依然として被告組合の組合員としての地位を有するものというべきである。

よつて、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 越山安久)

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